こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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迫りくる闇から、

自分自身の幻影から、

過去の罪から………

逃げるように部屋を飛び出した。

冷たい雨に打たれながら、当てもなく彷徨い続け、たどり着いた先は‥‥
あの日、俺の中にクオンが再び現れたあの場所。


ドスン


壁にもたれ、そのままズルズルと崩れるように地に座りこむ。

ワカメ頭の男に最上さんが突き飛ばされたのを見た瞬間、俺の心から黒い闇が噴き出した。
自分の立場も、映画のプロジェクトの事も‥。なにもかも忘れ、怒りのままに振りあげた拳。


「………っ」


殴っていない。それなのに───。

拳に残る鈍い痛み。
ブルブルと震える右手を強く握りしめ唇を噛む。




「つる……、兄さん!」

どのくらいの時間がたったのだろう…。
呼び声にはっと我に返り、顔をあげれば。 走り寄るセツ───、最上さんの姿。


どうして、ここに───?


「こんなに濡れて…、もうっ。心配したのよ!」

滴り落ちる雨の雫を拭おうと、自分に向かって伸ばされた彼女の手をスッと避ける。

「…にい、さん?」

「最上さん、俺は───、俺に触れないでくれ‥」
「‥‥えっ‥‥?」

こんなに汚れた俺に、……触れては、近づいてはいけない。

「俺には‥、君に触れる‥、幸せになる資格がない‥。」
「……シカク?」


「最上さん、俺はね───、」


震える心を隠し、上ずった声で語り始めたのは、“敦賀蓮”になる前の……。
世間を斜めに見下ろして、荒れて荒んでいた頃の‥俺(クオン)の話。


最上さんは、何も言わず…、
ただじっと、まっすぐに俺を見つめ、懺悔を聞いてくれる。

過去の罪を、こんなに汚れた俺を知ったら…。
君はきっと軽蔑し俺から離れていくだろう。


───それでいい。


“君と、幸せになりたい”
もう二度とそんな甘い夢を持たぬように、君が俺を───。


……突き放してくれ。



***



辛そうな表情で語られた、敦賀さんの壮絶な過去。
止まったままの時計も、大切な人は作れないというあの言葉も。
今なら、その意味がわかる。

敦賀さんの心は、過去に囚われたまま。
戻ることも進むこともできない頑丈な鎖で繋がれている。

‥‥自分自身で、繋いでいる。
今も、そしてこの先も。永遠に外す事のない鎖で‥‥。


「……っ」


うつむいたまま、視線さえも合わせようとしない彼のその冷えた頬を、両手でそっと包み込む。
何かに怯えているような、今にも泣き出しそうな‥切ない瞳。



見つける
(桃色無印 きゅ。様)



消せない過去。
その気持ちは‥‥、よくわかる。

私も過去に囚われている一人だから───。


「……敦賀さんは、罪を悔いているんでしょう?ずっと…ずっと後悔して自分を責め続けてきたのでしょう?
 ……心から非を認めた人間(ヒト)は──、」

「俺の犯した罪は、レベルが違う!!」

「そんなことない!」

敦賀さんはもう充分に罰を受けている。
だからもう‥‥、自分を赦してあげて───?


幸せになる権利。
それは誰もが平等に持っている。
神様にだってそれを奪う事はできない。

過去と言う名の鎖を、敦賀さんが自分で断ち切ることが出来ないのならば‥。


───私が。


戒めの為にはめられた右腕の時計。
そのベルトをそっと外す。

「敦賀さんの過去は私に預けてください。」
「…も、がみさん?」

そしてその掌に、自分の腕にはめていた銀の時計を乗せた。

「この時計、私が初めてお仕事をいただいた時に記念に買ったんです。だからこれは新しい自分の、“最上キョーコ”の始まりなんです。

これ───。敦賀さんが持っていてください。」

「……え?」

「私、もう過去は振り返らない。前だけをみて歩いていきます。これはその証。

 敦賀さんに私の未来を預けます。
 だから敦賀さんも……。私と一緒に未来に向かって歩いて下さい。」


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2010.08.01 / Top↑
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