こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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Happy Birthday


「「メリークリスマス」」

「───アンド‥‥、ハッピーバースデー」


おうちに帰ろう~Sweet home~



天使の矢がピンクのハートを貫いて、新しい1日の始まりを告げる時間(ころ)
鐘の代わりに流れてきたのは、柔らかなオルゴールの音色で奏でるバースディ・ソング。

「ふふ。今年も敦賀さんが一番におめでとうって言ってくれました」

うん───。
これだけは誰にも……。琴南さんにだって、譲れない。
「おめでとう」と伝えた時の、少し照れくさそうにはにかむこの笑顔を一番初めに見たいから。

「最上さん。これ」
「はい?」

なんですか? と小首をかしげながら差し出した紙袋を手に取る。

「プレゼント」
「えっ? 頂けません! だってプレゼントはもう……」

慌てて受け取った紙袋を俺に押し返す───が。
そうですか、と簡単に引き下がるつもりはない。首をゆっくり左右に振って拒否の姿勢を示した。

初めにプレゼントだと言ったら彼女は絶対に受け取らないと分かっていた。
だからわざわざ紙袋に入れたまま渡したんだ。何気なく受け取ってしまうように。
そして一度受け取ったら、それを無下に出来ない事も分かっている。
すべて想定内───。

「あれはクリスマスのプレゼント。俺も貰っただろう? 
こっちは、誕生日のプレゼント。クリスマスと誕生日のプレゼントは全く違うものだよ」
「───でも……」

「開けてみて。気にいってもらえると思うんだ」

受け取っていいものか……と迷っている彼女に、とっておきの一言。

「それね、宝石箱なんだ」
「えっ?」

「中世ヨーロッパで、貴族のお姫様が使っていた宝石箱のレプリカなんだって」
「おっ、お姫様っ?!」

“お姫様”と言う言葉にピクリと反応を示す。ここまでは計算通り。

「あの伝説の王妃、クィーン・ローザや王女プリンセス・ローザも持っていた物かもしれないね」

キラキラと彼女の瞳が輝きだす。

「あ、開けてみてもいいですか?」
「勿論だよ」

───陥落、成功。

「わー、素敵っ!」

煌びやかな装飾が程こされた銀の宝石箱を、うっとりとした瞳で眺める。

開いたままの宝石箱の中には、コーンとクィーンローザのネックレス。
そして、クラッカーから出てきたキラキラ光るガラス玉のついたおもちゃの指輪。

本当は彼女が好きそうな宝石で埋め尽くした宝箱を贈りたかった。
だけど、それはまた次の楽しみにとっておこう。


***


「敦賀さんが飲んでいるのって、あの有名なシャンパンですよね?」
「───ん? ああ、これ。社長に貰ったんだ」

「一口、飲ませてください」
「こらこら。未成年だろ?」

グラスに手を伸ばす彼女を軽く窘める。

「だって、薄いピンク色が綺麗なんですもん。ちょっとだけ飲んでみたい」
「お酒は20歳になってから」

「え~~。敦賀さんのケチ!」
「ケチって……。最上さん、ジュースで酔った?」

ぶー、と頬を膨らませてむくれる。

「お酒はダメだけど、代わりに───。おいで?」

部屋のバーカウンターに彼女をエスコートして、用意しておいたオレンジ・パイナップル・レモンのジュースを手早くシェーカーに注ぐ。

シャカシャカシャカ
小気味好いシェーカーの音。

「敦賀さん、カクテル作れるんですね」
「今度出演するドラマ、ホストの役なんだ。毎回、色々なカクテルが出てきてね、指導に来ているバーテンさんに教えてもらったんだよ」
「へー、ホスト役ですか! 敦賀さんにぴったり」
「そう?」
「遊び人ですからね、敦賀さんは」
「───はいはい」
「優しく接して、女性を誑かすんですよ」
「あのねぇ‥‥」
「ふふふ」

コトン。

「お待たせしました、お姫様。ノンアルコールのカクテル“シンデレラ”です」
「シンデレラ?」
「そう。お酒は入っていないけど、シェークしているから気分だけは味わえるよ」
「うわ~。甘酸っぱくて美味しいです!」

「それと……これ───」
「え?」
「バースデーケーキ。ちゃんとレシピ通りに作ったんだけど……ごめん。スポンジがうまく膨らまなかった」

お皿の上には不格好なケーキ───。
ペシャンコで見るからに堅そうな生地。
生クリームも綺麗に塗れず、スポンジが見えてしまっている所もある。

「……これ、敦賀さんが作ったんですか?」
「うん……。時間がなくて作り直しが出来なかったから───ごめんね……」

「ううん、すごく……すごく嬉しいです」

部屋の灯りを消して、18本のキャンドルに火を灯す。
フーと息を吹きかけると、オレンジの炎はゆらゆらと揺れ、消える。

「誕生日おめでとう、最上さん」
「ありがとうございます」

綻ぶ笑顔は、何よりも美しい宝石。

「20歳の誕生日には、夜景の見えるバーに連れて行ってあげる」
「本当ですか? 嬉しい! ──────でも……」
「ん?」
「お家がいいです」
「───え……?」
「20歳の時も……来年も。誕生日はこうやって、敦賀さんが作ってくれたカクテルとケーキでお祝いしてもらいたいです」
「───っつ───」

誕生日には、彼女の好きな物語‘シンデレラ’のカクテルを作って20歳の記念すべき日を一緒に過ごす約束を取り付ける計画をしていた。
お酒を飲んでみたいと彼女が言ったのは本当に偶然。

「……ダメ、ですか?」
「───いや……」

彼女の言葉に、‘特別’な含みはない‥‥。
それは、重々にわかっている。

それでも、もしかしたら───。

少しは──────。

俺は君の‘特別’になっているのだろうか‥‥?

「来年は、もう少しうまく焼けるように特訓しないといけないな」
「ふふ。いいんですよ。この手作り、って感じが嬉しいんです」


12月25日 彼女の18回目の誕生日。

俺は、最高に幸せな“約束(プレゼント)”を貰った───。

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2010.12.25 / Top↑
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