こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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5-1


「はい、OKで~す」
「敦賀君の撮りはこれで終了になります。お疲れ様でした~」

「お疲れ様です」

機材をバラすスタッフに労いの言葉をかけ、用意されたホテルの一室へと向かう。

アルマンディのアウター特集の撮影の為、訪れたのは冬の軽井沢。
ホテルの中庭へと続く遊歩道で、ふと立ち止まり辺りを見渡す。
そこは、白銀に覆われた白樺の林。
冷たく澄んだ空気は、夜の帳が降りた空に満点の星を映し出す。

最上さんが喜びそうな景色だな───。
んっ?

風の悪戯か、ふわり舞い上がる粉雪。


   敦賀さん、今の雪の妖精ですよ?


瞳を輝かせ、それを追いかける彼女の姿が目に浮かび思わず零れる笑み。
前を歩く社さんに、緩んだ顔を見られぬようマフラーを口元まで引き上げた。

「蓮、ちゃんとキョーコちゃんに連絡しておけよ。いきなり帰ったら驚くぞ、泊まりだと思ってるんだから」
「そうですね」

移動途中の高速で事故渋滞に巻き込まれ、モデルの一人の到着が遅れていると聞いたのは撮影現場に着いてから。
時間を持て余すくらいなら……と、俺のカットだけを先に撮ることを提案した。
休憩がなくなる分、些かハードではあったが、それでも2日間の予定が1日で済み、空いたその日が丸々1日オフになるというのは正直、嬉しい。

───そう、明日は‥‥



おうちに帰ろう~Sweet home~



「敦賀さん、明日お休みになったんですか?」
「うん、撮影が順調に進んだからね」

帰宅してすぐ確認されたのは食事の有無。
返事を濁した俺を叱りながら作ってくれた“うまいオムライス”を頬張りながらいつものようにお互いの1日を語り合う。

流石ですね。
なんて、最上さんは感嘆の声をあげるけど。
本当は、君が休みだと知っていたから───。
少しでも一緒にオフを過ごせるようにと、頑張っただけなんだ。

「それじゃあ、明日……朝寝坊しても大丈夫ですか?」
「ん? ああ、構わないよ。折角のオフだし君も家事はお休みにして食事はどこかに食べに行こうか?」
「いいですね。駅前のカフェのブランチが前から気になっていたんです。とっても素敵なお店なんですよ」
「じゃあ、明日はそこに──」
「敦賀さんはダメです」

───は?

「……どうして?」
「敦賀さんがオープンカフェで食事なんてしていたら店だけじゃなく街中がパニックになります。それに私なんかと朝から一緒に居る所を見られて噂になったらどうするんですか!」

「……別に……ちゃんと説明すればいいんじゃないか? 同棲してますって」
「んなっ!! 同居って言ってくださいっ!!」
「同じだろ?」
「ぜんっぜんっ、違いますよっ! やめてください、恐ろしい事を言うのは!」

恐ろしいって………。
そんなに全力で否定しなくてもいいのに。

「なに? じゃあ、最上さんは俺をおいて一人で行くつもり?」
「なんて情けない瞳でみるんです……子供ですかっ? そうじゃなくてですね、実はお店のメニューを真似してみよう思って下ごしらえはもう済んでるんです。パンも焼きますから楽しみにして下さいね。
そうだ! お天気が良かったらカフェの雰囲気が味わえるように明日はテラスで食べませんか?」

「そうだね。楽しみだ。
でもなんで朝寝坊? パンまで焼くんじゃ寝坊なんて出来ないんじゃない?」
「あ、朝寝坊というか……正しくは夜更かしですね。実は、モー子さんがDVDを貸してくれたんです。飛鷹くんの演技が参考になるからって」
「ヒオウ…? ああ、上杉飛鷹君か」
「はい。アメリカでもリメイクが決まった話題のホラーなんですけど、敦賀さんと一緒に見たいなって思って」
「ああ、これか。俺もみたいと思っていたんだ。じゃあ、お言葉に甘えて一緒に見せてもらおうかな?」


***



―――上杉飛鷹

俳優・上杉龍太郎を父に、女優・生羽目裕子を母に。
そして時代劇の重鎮、上杉虎鉄を祖父にもつ芸能界のサラブレッド。

───俺と同じ………2世。いや、彼は3世になるのか。
有名な両親を持つことで、彼も理不尽な扱いを受けたりする事があるのだろうか……。


───ん?


ふと、右側に感じた温もり。
気付くと最上さんは、肩が触れ合いそうなほど近くに座っている。

珍しいな……。いつもは距離を置いて座るのに。

…………そういえば。
映画を見始めた時、彼女はテーブルの横に正座をしていた。
少ししてソファーを背もたれにするように俺の足元に移動して───。
楽な姿勢を取ったのかなって思ったけど。

ジャパニーズホラー独特の恐怖をあおる演出に、ビクリと震える身体。

───もしかして………怖い、のか?

そうか。
琴南さんに進められた映画となれば彼女の事だ。喜んでその日のうちに観るだろう。
それなのに、俺が休みになる日まで待っていたのは、一人では怖くて見る事が出来なかったという事なのかもしれない。

ほら、また一歩近づいた。

くす。
なんだか意外だな。


ガッシャーーーーーン


「キャ~~~~~~~~~ッ!!!!!」

「───っ!」

見事な発声で悲鳴をあげて。
彼女が首にしがみ付く。

「やだやだ、何?」

やだ! 怖い! ───と。
ぶるぶると体を震わせて怯える姿は、小動物の様な可愛らしさで。
思わずぎゅっと抱きしめてしまいそうになる。

ふわりと漂う甘い香り。
柔らかな身体の感触、肌に伝わるぬくもり。


いかんいかん。


宙に浮いたままの手を誤魔化す様に、ポンポンと彼女の背を撫でた。

「大丈夫だよ。ちょっと見てくるから……ここで待っていて?」
「───わっ、私も行きますっ!」


→ NEXT 5-2

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2011.01.13 / Top↑
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