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企画拍手に投稿した作品です。
よろしかったらご覧ください。



男としてちょっと情けないかも、とは思ったけれど。君がくれたこのチャンス
逃す手はないだろう?

My sweet honey

松島主任に呼ばれて寄った事務所。仕事が残っているからという社さんと別れ、もしかして逢えるかもという淡い期待をもってラブミー部へ向かう途中、愛しい彼女の声が聞こえた。

「つ~る~が~さ~ぁぁ~ん!!!」

嬉しそうな顔で駆け寄る彼女に思わず顔が緩む。浮かれて飛び回る彼女に戸惑いながらも「どうしたの?」と尋ねると、CMの仕事が入ったと、嬉しくて俺に報告したかったのだと満面の笑み。
詳しく話を聞かせてと、ドライブがてら少し遠回りして彼女を送る。

「で、ですね。先生と共演なんですぅ~!しかも人生初の海外ロケ!!」

もうこれ以上の幸運はないとばかりに浮かれる彼女に、俺との共演もこの位喜んでくれると嬉しいのに…と、ちょっぴり複雑な心境を抱えながら、「よかったね。」とほほ笑むと「へへっ」と、とびきりの笑顔。

…可愛い。

運転中でハンドルを握っていなければ絶対抱きしめていた。危なかった…

「先生が役作りの話も兼ねて久しぶりに演技指導してあげるから遊びにおいでって、おうちに招待してくれたんです。」

「えっ?」

「先生、私が久遠少年を演じた事を奥様に話したらしくって、逢うのを楽しみにしてくださっているそうなんです。」

彼女の話を聞いて、何か余計なことを言われては…と、いてもたってもいられなくなり、家をでてから6年。俺は初めて両親に電話をかけた。

「…なので、絶対に彼女に余計な事は言わないで下さい。俺の子供のころの写真等も一切見せないで下さい。」

『お前につながるような事は勿論言わないが…、写真位なら今のお前とは結びつかないだろうし…。』

これは言いたくなかった。二人だけの秘密の想い出にしておきたかった。でも、仕方がない。

「ダメです。…俺、実は子供の頃彼女に京都で会っているんです。気付かれてはいませんが、彼女は今もその事を覚えていますし、何かと面倒なので絶対にやめてください!母さんにもそう伝えてください。それじゃあ…」

『あ、久遠。その事なのだが、明日はジュリも家に帰ってくるから…お前から言ってもらえないか?私だけ久遠と話した事がわかったらジュリにまた口を聞いてもらえなくなる…』

相変わらず母さんに弱いな。でも、俺も最上さんに口を聞いてもらえなくなるかもと思ったらきっと同じ事をするだろう。俺と父さんはやっぱり似ているのかもしれない。くすっと笑った。

「分かりました。では、明日。」



最上さんの出演する車のCMは、あの“保津周平ことクー・ヒズリ”が久しぶりに日本のCMに出演と言う事もあって話題をさらっていた。そして放送が解禁になって注目されたのは、クー・ヒズリの娘を演じている外人の美少女だった。

《休日は娘とデートを楽しもう》と言うキャッチフレーズで始まるCM

壮大な景色を走る車。開いた窓から青い瞳の少女が顔をのぞかせる。風になびいて揺れる長い金色の髪は光を反射させてキラキラと輝く。父親と出かけた先は、氷のはった湖。
初めてらしいスケートに苦戦しながら尻もちをつく少女。颯爽と滑る父親は娘の前で止まり意地悪げに笑う。頬を膨らませる娘を起こし、手を繋いで滑る恋人同士の様に仲のいい親子。


「なんで、最上さん金髪なの?」

事務所で流れるCMを見ながら尋ねると、最上さんは悪戯な笑顔を見せた。

「それは内緒です。実はこれ4部作になっていてひと月ごとに変わる予定なんです。そのうち謎が解けますよ。」


そしてひと月後。

《休日は、息子と男同士の旅に出よう》のフレーズで始まるCMは、少年に扮した最上さんだった。

車からひょっこりと顔を出した茶色い髪の少年は、釣り竿とバケツを持って湖へと走る。車のトランクからバーベキューコンロをだしながら父親は少年に声をかける。父親が魚を焼く隣で少年は身振り手振りで釣った魚の話をする。車のサンルーフから覗く満天の星空。眠る親子の頭上にはいくつもの星が流れていった。

子供の頃、こんな風に父さんとキャンプに行ったな。
彼女が演じているのはおそらく久遠。彼女は本当に久遠の心を掴んでいる。まるで昔の自分を見ているようなそんな気分になった。

前回同様に好評なこのCM。クーの子供は誰だ、などと特集も組まれていたが 誰もこの無邪気な少年と金髪の可憐な少女が同一人物だと気付くことはなかった。一度久遠を演じているのを見た事のある社さんでさえ「あれ、本当にキョーコちゃん?」と驚いていたくらいだ。全てのシリーズを放送し終わるまで出演者の名は明かさないそうだが、これはきっと最上さんにとってかなりプラスになるだろう。


第3段。《休日は、家族で出かけよう》

車の後部座席には、最上さん扮する少女と少年が眠っている。
たどりついた先は、いつもの湖。はしゃぎながら裸足で湖にはいり水を掛け合う仲の良い姉弟。車によりかかり見守る両親。金髪の女性の後ろ姿と、その肩を抱く父親の横顔。

間違いない。これ、母さんだ。

「びっくりしました?あれ、内緒ですけど本当に先生の奥様なんですよ。第4段は、奥様とデート編です。無償でいいから私も出たいっておっしゃって、急きょ出演が決まったんです。」

いつもの様に仕事の合間に寄ったラブミー部で束の間の休息。(社さんは気を使って席を外してくれた)
最上さんは、楽しそうにCMの裏話をしてくれた。

「私、先生の奥様に凄く良くしていただいて…。先生が父親なら私は母親よって。娘が出来たらあげようと思っていたって。これ、頂いたんです。」

嬉しそうに頬をあからめて見せてくれたのは、青い石が寄り添うように埋め込まれたプラチナのリング。

「この青い石。コーンみたいで素敵ですよね。家族って意味らしいですよ。ジュリエナさんのデザインで息子さんのもあるそうです。私、先生の息子さん亡くなったんだと思っていたんですけど、勘違いでした。今は仕事で別々に住んでいて帰ってきたら同じリング渡そうと思っているそうですよ。」

「そうなんだ。」

最上さんとお揃いの世界に2つしかない指輪か…。欲しいな。
なんて事を考えていると、君からの爆弾発言。

「私、実は向こうでプロポーズされたんですよ。」

なに~っ!!
思わず飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになった。プロポーズって!しかもなんか嬉しそうに!!
誰だ?向こうで会った人間か?それともスタッフ?父さんが一緒にいながら、どうして!

「と、言っても本人にされたわけじゃないですけど。」

「え?」

「ジュリエナさんが、本当の娘になってほしいから息子さんと結婚しない?って。」

「……それで、君はなんて答えたの?」

「私は結婚なんて考えてもいないんですけど、凄く真剣におっしゃってくれるんで…。こんな素晴らしいご両親に育てられた久遠さんはきっと素敵な方でしょうから、久遠さんが嫌じゃなければいいですよって。ふふ。まぁ、お会いする事もないですしありえないでしょうけど。」

「………へー、そうなんだ………」



***



数日後、「食欲がないから、胃に優しいものを作ってほしい」と、断れなそうな理由をつけて彼女を自宅へ誘った。

「こんにちは。敦賀さん、お加減は……」

出迎えた俺を凝視して、「あ、すみません。家を間違えました。」とペコペコ頭を下げながら出て行こうとする彼女に、「間違ってないよ、最上さん。」と、ニコニコしながら扉を閉めた。

「…役作りかなにか、ですか?」

コーヒーを差し出す俺の顔をまじまじと見つめる。 敦賀蓮の仮面を外した、本当の俺の姿。

「違うよ。今日は最上さんにこれを書いてもらいたくて呼んだんだ。」

一枚の紙を手渡した。

「なんですか?これ…」

「婚姻届。最上さん言っていただろう?久遠さえよければ結婚してもいいって。」

「…確かにいいましたけど。それが敦賀さんと何の関係が?」

「俺が久遠だから。」

「へ?」

「俺も最上さんがいいから。だから結婚しようね。」

にっこりと笑った俺に、彼女の顔が引きつる。

「…なんの冗談ですか? 新しいイジメですか? これ、かつらですよね。」

ソファーに膝立ちして俺の髪を探る。彼女の顔が、唇がものすごく近くてドキッとした。

鬼の首でも取ったかのような勝ち誇った顔で、かつらを俺の前に掲げる君。

「ばれたか。流石に染めに行く時間はなくてね。でも瞳は本物だよ。これは俺のトップシークレットだから聞いちゃった最上さんはもう逃げられないからね。」

「聞いちゃったから、って…。そんな話信じられるわけないじゃないですか。どうせあのCMみたいにカラーコンタクトなんですよね。」

「やっぱり信じられない?」

「当たり前です!」

「…最上さん。この間貰った指輪、今日持っている? 持っていたらちょっと見せてくれない?」

「持っていますよ。どうぞ。」

いつもの小さなサイフからそれを取り出し素直に俺に渡した。彼女の大事にしているサイフの中身は、コーンとクィーンローザのネックレス。そしてこの指輪。全部俺に関する物なのが嬉しい。

「これ証拠。」

指輪を受け取り代わりに彼女にさし出したのはパスポート。書かれた名前は『クオン・ヒズリ』そして金髪碧眼の俺の写真。眼を丸くしながらその写真の俺と今の俺を交互に見て茫然としている。フリーズした彼女を覚醒させるべく、ちゅっ と額にキスをした。

「なっ、なにするんですか~!!!」

真っ赤になってキスした額を手で覆う可愛い仕草。その左手を取ってさっき預かった指輪をそっと薬指にはめる。そしてこっそり先に同じ指輪をはめていた俺の左手を彼女の掌に重ねた。

「へ?それ…。」

俺が戻ってきたら渡すと譲らない母さんに強請って粘って、なんとか送ってもらったこの指輪。君と俺は家族(=夫婦)だという証。

「ハニー。君はもうりっぱなレディだから今すぐにでも結婚できるけれど、ちゃんと卒業までは待つからね。」

その掌に口づけた。

君がなにげなく言った言葉。
それを逃す手はないからね。
有言実行。
俺の事は父さんから聞いているだろうし、君とクオンは気持ちがリンクしているから分かるだろう?

My sweet honey
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2010.02.23 / Top↑
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