こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
6-1

長閑な朝。
ご機嫌に水を捲く彼女の鼻歌をBGMに、ウィッカーチェアに深く腰掛けてコーヒーを飲む。

「あっ!! 敦賀さん、見てください。蕾が見えます♪」
「ん? あぁ。ホントだ」

大きな葉っぱの間から顔をだす生まれたての蕾。これは、「おやゆび姫」という品種のチューリップ。メルヘン思考の彼女が好きなそうだなと、先日プレゼントしたもの。

「もうすぐお姫様が目覚めますね」


一緒に植えた花苗は可愛らしい花をほころばせ始め、並んでまいた種は小さな芽を息吹きだす。

聞こえてくる“春”の足音。



おうちに帰ろう~Sweet home~



「ひゃ~っ、今日は冷えるな」

暦の上では春の終わり───、とはいえ、まだまだ寒いこの季節。
日差しは届くものの空気はひんやりと冷たい。

「キョーコちゃんもこんな日に海での撮影なんて大変だな」
「……そうですね───」

遠巻きに眺める野次馬や撮影スタッフが吹きつける海風にブルリと身を震わせる中、撮影は始まった。邪魔にならない距離まで近づいてそれを見守る。



     パールをあしらった白いドレスを纏った少女が一人、浜辺に佇む。
     水面の漣にゆらゆらと揺れるドレスの裾は、魚の尾ひれの様で。
     まるで本物の“人魚姫”がそこに居る様な錯覚に陥る。

     風になびく長い黒髪を掻きあげながら、少女は柔らかい笑顔を向ける。
     その微笑みに魅せられた男は、恍惚とした表情でまっすぐ引き寄せられて行った───



「しかも、不破 尚のプロモだしな」



不破サイドから新曲プロモの出演依頼が入った時、彼女は心底嫌そうな顔をしていた。

「あいつといるとロクな事がないんです」

その言葉に、あの忌まわしい記憶が甦る。
彼女の気持ちを考えない、一方的な行為。 俺に向けた不敵な笑み……。

あの後、彼からのモーションは特になかったようだが安心はできない。
不破が自分のプロモ撮影をぶち壊す様な真似をするとは思えないが、このコンセプトでのロケは“泊まり”も考えられる。
未だマネージャーがついてない彼女には守ってくれる味方(ヒト)がいない。そんな中、不破と一夜を過ごすなんて……何が起きるか分からない。
売り言葉に買い言葉でうっかり部屋に招き入れてしまうかもしれない。

「………その撮影ってどこでやるの? ロケだよね」

もしもの場合は、社さんに1日だけ臨時のマネージャーをしてもらえるように頼んでみるか……。

「えっと……、M海岸ですね」
「M海岸……」

おもむろに携帯を取り出し地図を確認する。
M海岸って確か───。

「敦賀さん?」

ああ。やっぱりそうだ。
画面に表示された情報を確認し、パチンと携帯を畳みながら顔をあげた。

「あのさ、最上さん。俺、その日近くで雑誌の撮影があるんだ。終わったら見学に行ってもいいかな?」
「───え?」
「勿論、向こうのプロデューサーにも話は通しておくけど……。最上さんがどんな風に“人魚”を演じるのか、見てみたいんだ。ダメ?」


Next 6-2


スポンサーサイト
2011.03.31 / Top↑
Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。