こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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6-4

*

「敦賀さん……、一人で歩けます……」

強がってはみたけれど、身体はだるくて言う事を聞かない。

「無理しないでいいから。動くと危ないから大人しくしていてね」
「───ごめんなさい……」

せめて敦賀さんが歩きやすいように……。
なんとか動かした手を彼の首にまわしぎゅっとしがみつく。

「気にしないで? さあ、うちに帰ろう───?」
「───ん……」

ゆらゆらと──────
心地よい香りに包まれて。
力強く温かい腕の中、張りつめていたナニかがプツンと切れた。


おうちに帰ろう~Sweet home~


───自分の身体(しょうばいどうぐ)を管理できない人はプロ失格───


体調が悪いのは、自分の健康管理が甘かったから。
だから“辛い”なんて甘えは許されない。
誰にも気付かれない様にいつも通りの自分を演じる。
もう少し……、後もう少し───。
そう自分に言い聞かせて。

だけど潮風や海水は思った以上に冷たくて、だんだんと手足の感覚がなくなっていく。
ぞくぞくとした悪寒が背筋を這い上がり、呼吸さえも苦しく感じる。

辛くて、辛くて、くじけそうだったあの時
敦賀さんの姿を見つけて…………。

なんだかとってもホッとしたの──。



***



「………ん………」

重い瞼を開けると、そこには心配そうな顔で覗き込む敦賀さんが居た。

「あ、ゴメン。起こしちゃった?」
「…………敦賀、さん?」

自分がどうしたのか思い出せず、辺りをきょろきょろと見渡す。
ここ───、私の部屋?

「氷枕、取り替えるだけだから寝ていて?」

そうだ。
私……、具合が悪くて……。
見学に来ていた敦賀さんに連れられて帰ったんだ。

「薬が効いたかな? だいぶ熱は下がったみたいだ」

大きな手が額に触れる。

「敦賀さんの手……冷たくて気持ちがいい」
「ん? ああ、氷を砕いていたからかな?」

気持ちいい?
そう言いながら包まれた頬、ひんやりとした掌が心地良くて。
軽く瞳を閉じた。


「───いひゃい」

ぎゅむ~~~。
不意に頬をつねられて。
驚いて見やった視線の先には、少し怒ったような……拗ねたような……表情(かお)の敦賀さん。

「昨日、雨に濡れて帰って来たからだよ? 俺が家に居たんだから、ああいう時はちゃんと迎えに来いって連絡する事」
「……だって……」

駅に着いた時にはパラパラとした雨だったから、傘がなくても大丈夫だと思ったんだもの。
それに……。
敦賀さんに迎えに来てもらうなんて、そんな恐れ多い事、出来るわけない。

「だって、じゃありません。それで風邪をひいていたらしょうがないだろう? 家族には甘えていいんだから」
「家族……?」
「家族だろう? 一緒に暮らしているんだから」

家族……。

「……お父さん、ですか?」
「お父さんって……。俺、君と4つしか歳、離れてないんだけど?」
「前に……思ったんです。頼りになって安心できて。お父さんってこんな感じなんだろうな、って」

それだけじゃない。
しっかりした優しいお兄さんでもあり、時々、ダダをこねる困った弟のようでもある。

「お父さんか……。でも最上さんも食事に関してはお母さんみたいだからおあいこかな」
「私がお母さんですか? ふふ。大きな子供ですね」

家族。
敦賀さんと家族だって。

胸のあたりがポワンって暖かくなって、なんだかくすぐったい。

“家族”ってこんなにあたたかいものなんだ。



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2011.05.15 / Top↑
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