こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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2010年 惣也様主催「SKBアンソロ計画 Give me the fairy's LOVE」に参加させて頂いた作品です。


*** 1 ***

気がつけばいつも傍にいて、優しい笑顔をみせてくれる。会えない日は寂しくて。毎日声が聞きたくて。自分でも持て余し気味だったこの感情が“恋”なのだと気付いたのはいつだっただろうか。幾重にもかけた心の鍵は、一度外れたら元には戻らない。コロコロと坂道を転がり落ちるように、“敦賀蓮”という磁石に吸い寄せられていく──。

「敦賀さんが好きです」

敦賀さんの食事を作るという事を言い訳にお家にお邪魔するようになって数カ月目の夜。膨らんで今にも弾けそうだった想いを告げた。
受け入れてもらえるなんて図々しいことを思っていた訳ではない。だけど“世話の焼ける頼りない後輩”というポジションを失ってでもこの気持ちを伝えたかったの……。

「……えっ?……」

ほら、驚いた顔。無表情のまま固まっているのは、きっと私が傷つかないような断わりの言葉を探しているから。

「……あの……気にしないで下さい。ただ……伝えたかっただけなんです。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。忘れてください」

零れ落ちそうになる涙を必死に隠して、精一杯の笑顔を作る。

「あ、そうだ。DVDでも見ませんか? 先生が新作を送ってきてくれたんです」

何事もなかったかのようにふるまってみても、敦賀さんは未だ微動だにしない。
静まり返った部屋に響くのは私の鼓動だけ。


──言わなければよかった……。


俯いてスカートの裾をぎゅっと握り締める。
想いを告げるだけでいいなんて、そんな事どうして思ったのだろう……。きっと敦賀さんは私と距離を置く。もう今までの様に接して貰えないかもしれない。もう二度とあの優しい笑顔を向けてくれないかもしれない。言わなければ、あのまま傍にいれたかもしれないのに。

「失礼します!」

沈黙に耐えきれずいたたまれない気持ちで部屋を飛び出した。

「待って! 最上さん!」

掴まれた腕を引き寄せられて傾いた身体、塞がる視界。


──え?


何が起きたのか分からなかった。私、敦賀さんに抱き締められている?

「……ありがとう……嬉しいよ」
「えっ?」

見上げれば、蕩ける様な甘い笑顔。暖かな腕の中、受け入れてもらえた幸せに涙が溢れた。


◆◇◆◇


小さな呼び出し音が束の間の逢瀬の終わりを告げる。

「残念、もう時間だ」
「……はい」

敦賀さんのスケジュールは相変わらず秒刻みで殺人的だ。私もありがたいことに仕事が増え、二人で過ごす時間はなかなか取ることが出来ない。

「そんな寂しそうな顔をされると離れられなくなるな。このまま二人でどこかに行こうか?」

艶を含んだ笑みを浮かべながら頬を撫でる掌。覗きこむように見つめられ、黒い綺麗な瞳から目が離せなくなる。ゆっくりと近づく唇。


──あ……。

それは、ほんの一瞬。軽く触れただけの、二人、初めてのキス。
恥ずかしくて顔を見ることが出来ず、癒しの香りのするその逞しい胸に顔を埋めた。
トクトクと聞こえる心音が心地良い。おずおずと背に手を回せば、ぎゅっと抱きしめられて。優しく髪を撫でてくれる。

幸せすぎて──、怖い。

「もう…行かないと」

二度目の呼び出し音で離れた腕。消えた温もりが寂しい。もっともっと一緒にいたい。

「あ……の」
「ん?」

敦賀さんと付き合いだしてから、社さんは定期的にスケジュールを教えてくれる。自分の手帳と見比べては休みが重なる日を探す日々。だけど──。

「……いえ。運転、気をつけてくださいね。それと! お食事もちゃんと摂らないとダメですよ」
「くす。了解。……あのさ、最上さん」
「はい?」
「今夜、九時頃にはあがれそうなんだ。最上さんも確か同じくらいだろう? 終わったら待っててくれるかな? 一緒に帰ろう?」
「はいっ!」

会いたいと素直に言えない私。いつも敦賀さんが誘ってくれた。
他の人には秘密の恋。外ではゆっくりデートすることが出来ないからと、会うのはいつも敦賀さんの家。お食事をしたり、ドラマや映画をみたり。話は尽きることなくて楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
あまり遅くなるとだるまやのご夫婦が心配するからと敦賀さんは気を使ってくれるのに、帰りたくない。もっとずっと一緒にいたいと思ってしまう私は、我儘なのだろうか。

「すぐそこですし、大丈夫ですよ?」
「うん。じゃあ、そこまで」

だるまやの近くに車を止めて、お店の前までのほんの少しの短い距離、手をつないで歩く。

「おやすみ」

別れ際、ぎゅっと抱きしめられて、おでこに軽く落とされるキス。唇が触れたその場所からポワンと暖かくなってこもった熱はじんわりと全身に広がって行く。
触れられる事が嬉しくて一緒にいる事が楽しくて。
浮かれていた私がやっと気付いた疑問。
敦賀さんって、好きな子がいるんじゃなかったっけ?

それに気付いたのは、敦賀さんの小さな変化。

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2012.08.22 / Top↑
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