こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
2010年 惣也様主催「SKBアンソロ計画 Give me the fairy's LOVE」に参加させて頂いた作品です。
*** 2 ***

「お忙しいのに送っていただいてありがとうございました」
「どういたしまして。また明日ね」
「…………」
「ん?」
「あ、いえ。何でもないです。おやすみなさい」
「おやすみ」

車が見えなくなるまで見送って、はぁとため息を吐く。

──また抱きしめてくれなかった……

足元の小石をコツンと蹴飛ばす。
別に抱きしめてほしいとか、キスしてほしいとかそんな破廉恥な事を思っているわけじゃ──。いや、思っているのか……。
だって、敦賀さんに抱きしめられると凄く安心して心地良い眠りにつけるから。だってセラピーだもん。
……いつからだろう。今まで隣に座っていたのに少し離れて座る様になったのは。家に帰される時間が早くなったのは。いまから会える?と部屋に呼ばれる事が少なくなったのは……。
会った時にはいつもと変わらない優しい笑顔をみせてくれる。だけど何度も小さくため息をついたり、つまらなそうに無表情になったり。

──もしかして、嫌われちゃった……のかな?


                    ◆◇◆◇


「敦賀さん。私、明日おやすみなんです。お仕事終わったら一緒に遊びに行きませんか? それで…遅くなりそうなので……できたればそのまま泊めていただければ、と……」

ちらりとのぞき見るように目線だけをあげたその瞬間、見てしまった。敦賀さんの顔が少し困った様な笑顔に変わるのを。

「あ……。もしかして何か予定、ありました?」
「いや、予定って言うか……。今日は深夜まで仕事が入ってるし明日もはやいんだ。だから──」
「え?」


「キョーコちゃん」
「あ、社さん。こんばんは」
「蓮と待ち合わせ?」
「あ、いえ。近くで撮影があったので少しだけでも会えたらと思って」
「そっか。蓮、今本番中なんだけどもうすぐ終わると思うから控室で待っていてあげてよ、喜ぶからさ」
「はい。ありがとうございます」
「あ、そうだ。キョーコちゃん、明日オフだったよね? 今さ、蓮の仕事も急に変更になって翌日の昼までオフになったんだ。学校も休みだしさ、蓮とドライブでもしておいでよ。星が凄く綺麗に見えるお勧めの場所があるんだ。ちょっと遠いんだけどね」
「星空ですか! わぁ、見てみたいです。でも敦賀さん行ってくれるでしょうか? 久しぶりの休みだし、身体を休めた方が……」
「大丈夫。キョーコちゃんがお願いって言えば喜んで行ってくれるから」


それは……、ついさっき社さんが教えてくれた情報。

「ごめんね?」

――――─嘘、ついた……。

「いえ! そうですね。敦賀さんにはお仕事がありますもんね。すみません。私、自分の都合ばかりで」

―――――ううん。本当に急な仕事が入ったのかもしれない。もしかしたらオフになったことを知らないのかも。

「また、今度ね」

――――─私と一緒にいるのは嫌なのかもしれない。

「はい」

――――─ううん。また今度って言ってくれた。


本当に仕事なのか確認する為じゃない。いつでも来ていいと言ってくれたから。敦賀さんに美味しくて栄養のある食事を作ってあげたいから。もらった鍵で家主のいない部屋に入る。

「……おじゃまします」

キッチンへ向かい、野菜たっぷりのスープと軽くつまめる物をいくつか作り、いつでもチンして食べられるようにと保存用のタッパに入れて冷凍庫に閉まった。

「することなくなっちゃった……」

誰もいないひんやりとした部屋に一人、膝を抱えながら彼の帰りを待った。

九時、十時、十一時……。
敦賀さんは帰ってこない。

……もしかしたら……。
敦賀さんは優しいから私に恥をかかせない様にOKしてくれたのかもしれない。ラブミー部の私が愛する心を取り戻したのだからと、断れなかったのかもしれない。だけどやっぱり私の事は『後輩』としか思えなくて。浮かれている私にそのことを言い出せずに悩んでいるのかもしれない。

だって……。
だって、私。

敦賀さんに『好きだ』って言われたこと


……ない……。


「……帰ろう」

テーブルの上に手紙を残し、その家を後にした。

その夜は、一晩中携帯を見つめていた。「さようなら」と、残したメッセージを見て敦賀さんが連絡をくれると思ったから。
一向に鳴る気配のない電話。気付けばカーテンの隙間からは朝の光が差し込んでいた。
やっぱり敦賀さんは私から別れを切り出すのを待っていたんだ。
じわりと溢れる涙を我慢できず……布団にもぐりこみ声をころして、泣いた。


→Next 3



スポンサーサイト
2012.09.03 / Top↑
Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。