こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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2010年 惣也様主催「SKBアンソロ計画 Give me the fairy's LOVE」に参加させて頂いた作品です。


*** 3 ***


『敦賀蓮 熱愛発覚』


腫れた目を冷やそうと居間に降りた私の耳に飛び込んだそのニュース。どの局もこぞってスキャンダル知らずの人気俳優と恋多き女優の熱愛を報じている。画面の中にはどこかの会場でレポーターに囲まれる綺麗な女性。レポーターの質問に、否定も肯定もせず、にっこりとほほ笑んでいる。

――――あの人、敦賀さんが出演するドラマのヒロインだ……。

『実は、敦賀蓮がジュエリーショップで指輪を購入したという情報があるんですよ』
『それでは、この彼女の薬指に光る指輪が贈られたものということですか?』
『はっきりと断定はできませんが。可能性は──』

レポーターの話す声が、どこか遠くで聞こえる。まるで、そこに立つ自分だけが非現実の世界にいる様に。
そして――――

『そしてこれが昨夜の二人の密会の写真ですね』

追い打ちをかけるかのように映し出された三枚の写真。

肩を並べて歩く二人の写真。
敦賀さんの車の助手席のドアに手をかける女性の写真。
夜の街へと消えていく敦賀さんの車の写真。

――――昨日の予定って……。

そうか……。そうだったんだ。
態度がよそよそしくなったのも、抱きしめてくれなくなったのも、連絡をくれないのも──。


――――他に、好きな人がいるから――――


なにもする気がおきず部屋の隅に蹲って、どのくらい時間がたっただろう。
テーブルの上の携帯が、突然けたたましい音で鳴り響く。
ディスプレイには「敦賀さん」の文字。

「……っ……」

別れの言葉なんて……今はまだ聞きたくない。
笑って幸せにと言えるようになるまで、もう少しだけ……待ってください。
そっと電源をオフにした。


あの日から三日たった今も、敦賀さんには会っていない。同じ事務所にいても、同じ芸能界という小さな世界にいても連絡を取り合わなければ会う事もない。分不相応な想いだったと言う事に改めて気付いた。
敦賀さんからは、毎日のように電話がかかってくるけれど出ない。メールも届いているけれどフォルダーを開くこともしない。着信拒否の設定をしようか、アドレスや届いたメールを消してしまおうか。そう思いながらメモリを表示させるけれど、削除のボタンは押せないまま。関係を切りたくないと思う自分はなんて未練がましいのだろう。

「ホント……、情けない」

パタリと携帯を閉じ、大きく深呼吸をしてスタジオへ向かった。
これから、新番組対抗のスペシャル番組の撮影がある。同じ局で始まるドラマの主演である敦賀さんも参加が決まっている。
少し前までは同じ仕事が入っているのが嬉しくてこの日が待ち遠しかったけれど、今となってはちょっと辛いな……。アノ女優もいるから。
でももう大丈夫、ちゃんと笑える。シミュレーションだってしてきたのだから。

「あ、キョーコちゃん!」

スタジオに入った私に気付いた社さんが笑顔で手を振る。その後ろには、少し不機嫌な表情の敦賀さんが見える。

怒っている……。
そうよね。あれだけ連絡を無視していたら、いくら敦賀さんでもムッとするわよね。

「こんにちは、敦賀さん、社さん。今日は宜しくお願いします」

にっこりと笑顔を浮かべ今までとなんら変らない素振りで挨拶をする。違うのは――――、その笑顔が作りものだということ。

「……最上さん。あのさ」
「はい?」
「この前のことなんだけど――――」
「この前――――ですか?」

いきなり飛び出た本題に少し身構える。
こんなところで話す会話じゃないのに……。

「京子ちゃ~ん、ちょっといいかな?」
「あ、はい。今行きます。すみません、失礼します」

共演の女優さんとともにスタッフに呼ばれ、その場を離れられた事にホッと胸をなでおろした。
打ち合わせの間中、背中に視線を感じたけれど……。振り向くことはできなかった。

「話しがあるから……、終わったら待っていて?」

いつのまにか後ろ立っていた敦賀さんに、そう耳打ちされたけれど二人になるのが怖くて。捕まらない様、早々にスタジオを逃げ出した。



               ◆◇◆◇



挨拶もしないで帰ってきてしまった……。
なんて不義理な後輩なのだろう。
でもどうしても聞きたくなかった。敦賀さんの口から「他に好きな子がいる」と。
撮影中――。当然の様に並んで座り、アノヒトが敦賀さんの腕に腕を絡める。顔を近づけて笑いながら話すそんな二人をみる度に心が悲鳴をあげた。
渦巻く黒い感情を誰にも気付かれない様に、綺麗な笑顔を貼りつけて。

──もう限界だった。

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2012.09.11 / Top↑
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