こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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いつだったか私が磨いた時のように、その床にはワックスがかかっていて――

急いで階段を駆け上っていた私は、踊り場に足を踏み入れた途端 滑って背中から落下した。

ぎゃあぁぁぁぁ!!!!!

宙に浮かぶ身体。
己の運命を予想し、ぎゅっと眼を閉じると「危ない!」との言葉とともに大きな腕に包まれた。

敦賀さん?

ドスン!!

壁にぶつかる大きな鈍い音。

「いたた…… ごめんなさい、敦賀さん。大丈夫で――えっ?!」

振り向いた私の視界に映ったのは、頭から血を流す彼の姿。
意識を失った身体は、私を抱きかかえたままズルリと崩れ落ちる。
滴り落ちる血を止めようと触れた掌には、生あたたかい感触がみるみる広がっていき……。

「や、うそ?! 敦賀さん? 久遠?! ヤダ、眼,開けて!!」


Act.1


「キョーコちゃん、心配なのはわかるけど…明日も仕事だろ?今日は俺がついているからさ…」

社さんの言葉に、私はフルフルと頭を振った。

「だって、まだ意識戻らない… 今日は私もここにいさせて下さい…」

あんなに血が出ていたけれど頭の傷は浅く大事には至らなかった。
だけどあれから何時間もたっているのに、彼は眼を覚まさない。
CTも脳波も異常はなかった。
「じきに眼を覚ますでしょう」お医者様はそう言っていたけれど…
ゆっくりとおちていく点滴、頭に巻かれた白い包帯、閉じたままの瞳、青白い彼の顔に不安がつのる。

ピッピッピ
無機質な機械音だけが病室に響いていた。


………怖い………

このまま眼を覚まさなかったらどうしよう。
祈るように眠っている彼の手を握りしめた。

「…私がもっと気をつけて階段を上っていれば…」

涙がじわりと溢れだす。

「私なんか助けなければ、敦賀さんが怪我をすることなんてなかったのに!」
「キョーコちゃん!そんなふうに思ったら蓮に怒られるよ!」

珍しく声を荒げた社さんにビクリとした。涙をこらえて見上げると、社さんはにっこりと優しく笑った。

「キョーコちゃんが蓮を大切に思うのと同じで蓮もキョーコちゃんが大切なんだから… それにもしあの時助けられなくてキョーコちゃんが怪我をしていたとしたら、蓮の過保護はもっと度を増すと思わない?」

‥確かにそうかも‥
私を心配する彼の姿を思い浮かべ、くすっと笑った。

「キョーコちゃんは女の子なんだから傷でもついたら… って、蓮!」

社さんの声に慌てて振り返ると、漆黒の瞳が私たちを訝しげに見つめていた。

「……あ……」

ゆっくりと起き上がる彼の姿に、安堵の胸を撫で下ろす。

「…社さん…」
「蓮、気が付いたんだな。安心したよ。よかったね、キョーコちゃん!」
「……」

嬉しさに胸がつまり言葉が出てこない。何度も大きく頷いた。
よかった! 本当によかった!

「…俺、どうしたんでしたっけ? ここ…病院ですか?」
「覚えてないのか? お前、事務所の階段から落ちて…」
「階段から…、ですか?」
「頭を打ったから混乱しているのかもしれないな。とにかく、先生を――」

眼の前の会話に可笑しなことは何もない。
だけど気付いた違和感。

敦賀さん、一度も私の顔をみない…

まるで私の事など目に入っていないような、存在さえ否定するような…そんな態度。
不安を感じ、繋いだままの手を無意識に強く握った。

「……っ!」

掌からのぞく、凍てつく視線。
鋭い視線に射抜かれ強張る身体。

「…君、だれ?」
「えっ?」

冷たい視線に怯んだ私と、
先生を呼ぼうとナースコールに手をかけた社さん。
声を出したのは、ほとんど同時だった。
そして、同時に顔を見合わせた。

「ハハ、冗談いえるくらいなら大丈夫だな。それにしてもタチが悪いぞ、心配していたのに。ね、キョーコちゃん」

冗談?

違う。
社さん、違いますよ…。
だって彼の眼は私を……


―――― ウトマシク、オモッテイル ―――――


「…社さんこそ何を言っているんですか? 大体、何故俺の知らない子がここにいるんです?」
「知らない子って…。お前、いい加減にしないとキョーコちゃんに嫌われるぞ」
「はぁ?」
「………」

社さんが、どうなっているんだ? と言う眼で私をみた。
だけど私は動くことも話す事もできず、ただただ茫然としていた。

「君、悪いけど手を離してもらえるかな?」
「!」

突き放すように振りほどかれた手。
温もりが消えたその手を、じっと見つめた。
どうやって動けばいいのか分からなくなってしまったように、じっと。

怒って知らない振りをしている、そう思いたかった。
だけど彼はそんなことはしない。本当に私の事がわからないんだ。

「蓮!お前なんて事、キョーコちゃんはお前を心配してずっと――」
「社さん、待って!いいんです。気にしないでください!すみません、敦賀さん。勝手に病室に入ったりして…。 私、もう帰ります」

これ以上、彼の冷たい視線に耐えられない。
今はここに居たくない。
荷物を持って駆けだした。

ドアノブに手をかけ、ぎゅっと目をつぶりそして笑顔で振り返る。

「早く良くなってくださいね」


「キョーコちゃん、待って!」

私を呼ぶ社さんの声が聞こえたけれど。

ごめんなさい…

今の私を、見ないでください。


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2010.03.08 / Top↑
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