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こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

「こんにちは」
「……君……」

病室のドアからひょっこりと顔を出したのは、昨日の女の子だった。

Act.2

暗闇の中を一人彷徨っていた俺は、優しい温もりに導かれ目が覚めた。
見覚えのない天井、白い壁。

どこだ……ここ?…

彷徨わせた視線の先に映った、茶色い髪の女の子。
だけどその姿に見覚えはない。
訝しく思いながら視線を細める。

…だれ、だ…?…


「……!……」

朦朧とする意識の中、俺を呼ぶ声がどこか遠くから聞こえた。

「…社さん…」

社さんも、‘ここ’に居たことに気付き
ズキズキと痛む頭を押さえながら、ゆっくりと起き上がる。

「…俺、どうしたんでしたっけ?…ここ、病院ですか?」
「覚えてないのか? お前、事務所の階段から落ちて…」
「階段から…、ですか?」
「頭を打ったから混乱しているのかもしれないな。とにかく、先生を――」

方手で顔を覆いながら、記憶の断片を探る。
階段から落ちた……? 覚えていないな。
靄がかかったようにすっきりしない頭に、不安と苛立ちを感じた。


突然、強く握られた手。

見知らぬその子にしっかりと手を握られていることに、気付いてはいた。
社さんの知り合いらしいが、それにしても‥‥

「…君、だれ?」
「えっ?」

『温厚な紳士・敦賀蓮』の仮面も忘れ睨みつけた俺に、ビクンと身体を強張らせたその子と、ナースコールを押そうとしていた社さんが声をあげたのはほとんど同時だった。

「ハハ、冗談いえるくらいなら大丈夫だな。それにしてもタチが悪いぞ、心配していたのに。ね、キョーコちゃん」

冗談?
いつ俺が冗談なんて言った? からかっているのか?

「…社さんこそ何を言っているんですか? 大体、何故俺の知らない子がここにいるんです?」
「知らない子って…。お前、いい加減にしないとキョーコちゃんに嫌われるぞ」
「はぁ?」

いい加減にしてくれ!

「君、悪いけど手を離してもらえるかな?」

八つ当たりするように乱暴に振りほどいた手。
その手をじっと見つめたまま動かないその子を見て、ギクリとした。
頬に一滴、涙が伝っていたから。

***

「…また来てくれるとは思わなかった…」

状況がわからず苛立っていたとはいえ、あんなに冷たい態度を取ったのだからもう二度とここへ来る事はないだろうと思っていた。
彼女が流した涙が。
そして、帰り際にみせたあの泣いているような笑顔が、ずっと心に引っかかっていた。

「忘れられたままじゃ悔しいですからね。
とりあえず自己紹介します。私は、最上キョーコ。あなたのフィアンセです」

「………………………は?……………………」

フィアンセ?
何を言っているんだ、この子は?

唖然として固まる俺を見て、その子は悪戯が成功した子供の様に楽しそうに笑っている。
まったく……。
ため息をつきながら、やれやれと首を左右に振った。

「なんですか?!そのメリケンジェスチャーは!信じていませんね!」
「信じるもなにも、俺は君を知らない。知らない人がフィアンセなんて事あるはずないだろう?」
「だからそれは私の記憶が抜け落ちているからですよ!」
「なぜ?」
「わかりませんよ、そんなこと。私が聞きたいです!」

拗ねたようにぷーっと頬を膨らませて、上目使いに俺を睨むその姿。
なぜだかわからないが、この顔には逆らえない…そう思った。

「と、とにかく!冗談はやめてくれ。俺はここで――」
「大切な人は作れない?」
「え?」
「ふ~~。またそこからですか……。いいですよ、受けて立ちます」
「受けて立つって……」
「もう一度、その気持ち変えて見せます。覚悟してくださいね」

宣戦布告です。
彼女はニヤリと笑った。


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2010.03.10 / Top↑
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