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“敦賀蓮が入院している事で騒ぎにならないように”

消灯間近に行われた頭部の再検査。
遅い時間に申し訳ないとは思ったが、病院側の配慮は有り難かった。



Act. 3


検査を終えた俺は、事故当時の記憶を思い出すきっかけになるのではと階段を使い病室へと戻った。

運動神経にも身体能力にも自信がある。
それなのに、何故俺は階段から落ちたのだろう。
それも壁に激突して意識を失うほどの勢いで。

ふと、腕に甦る重み。
俺は……何かを持って、いた…?

「……あ……」

仄暗い病院の廊下、壁を背に寄りかかり俯く一人の女の子。
まるで涙をこらえているような、その表情に胸がきしんだ。

「あ、敦賀さん。おかえりなさい。検査終わりました?」

俺に気付いた彼女は、さっきまでの表情が嘘のように柔らかく笑う。

「…また来たんだ…」
「勿論。今朝はあまり長い時間いれませんでしたからね。ちなみに明日も来ますよ」

部屋の電気は、消灯時間を過ぎていっせいに消されているため暗い。
ベッドサイドランプの明かりだけが二人を照らす。

なんというか‥。
こう部屋が暗いとどことなく落ち着かない‥‥。
対する彼女はまったく気にする様子もなく、カバンから携帯用のポットを取り出しカップに注いでいた。
そしてベッドに腰かけた俺の隣にちょこんと座わると、「どうぞ」と、それを差し出した。

「リラックスするハーブティです。敦賀さん昨日、眠れなかったんでしょ?お仕事の事が気になるのはわかりますけど、ダメですよ。睡眠は取らないと。これ飲んで今夜はしっかり眠ってください」
「……」

どうして分かったのだろう‥。
確かに夕べは眠れなかった。だけどそれは、仕事のことを考えていたからではない。
八つ当たりで傷つけてしまった君を――

カップから漂う優しい香りに、そっと瞳を閉じた。

「あ、テレビつけていいですか?」
「え?」
「もう始まっちゃってますけどドラマが見たいんです」

見舞いに来て、テレビって。

「……君、家にテレビないの?」
「む、失礼ですね。ありますよ。高画質・高音質のりっぱなテレビが!」
「じゃあ、家で見ればいいのに…」
「敦賀さんと見たかったんですっ」
「……まぁ、いいけど」

彼女が入れてくれたお茶を飲みながらみたそのドラマは、もう終盤に差し掛かっていたが主演女優の常軌を逸した演技が際立っていて、みるみる引き込まれていった。

……あれ……?

この女優、この子じゃないか?
驚いた。雰囲気がまるで違う。それに、…上手い。

俺は何故、こんな演技をするこの子を知らないんだ?

視線に気付いた彼女がにこりとほほ笑む。

「君、女優だったんだ…」
「えっ…? あ…そっかそっか」

俺の問いに一瞬不思議そうな顔をしたその子は、何か納得したようにポンっと手を叩いた。

「女優っていうか… 今は演技の仕事の方が多いですけど、所属は『タレント部』です。あ、『ラブミー部』かな?」

言いながらクスクスと笑いだした。
ラブミー部ってなんだ?

「京子って芸名です。京都に住んでいたので、京都の京に子供の子」
「え、京都?」

京都のキョウコ… 
なんだ?何か引っ掛かる。

一瞬、無邪気に笑う小さな女の子が脳裏に浮かび、そしてその映像はパチンと弾け散った。

「本当は“プリンセスシンディ”とか“プリンセスローザ”がよかったんですけどね…」
「ぷっ」

はぁ~と残念そうにため息をつく姿に思わず笑ってしまった。

「プリンセスシンディって、随分メルヘンだね」

「やっと笑ってくれましたね」

我慢できずに笑った俺を見て嬉しそうにほほ笑む彼女。
花が咲いたようなその笑顔に、胸がドキンと高鳴った。



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2010.03.12 / Top↑
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