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「あ、蓮。俺ちょっと出てくるな」

携帯を方手にいそいそと部屋をでる。
それは、彼女が訪れたというサイン。


Act. 5

俺が怪我をして入院した事は、連日新聞各紙やニュース番組などで報道されていた。
過去の共演者から面識のないスタッフ、そしてファンの子達。沢山の見舞いの言葉がテレビの電波や紙面を通して伝えられる。だが、見舞いに訪れる者は少ない。

敦賀蓮の入院先。
それは、トップシークレットなのだそうだ。
事務所関係者でも一部の人間しか知らないらしい。

それでも、どこから情報が漏れてマスコミやファンが押しかけて来るかわからないからと、社さんはガーディアンも兼ねて病室で仕事をしている。

迷惑をかけて申し訳ないとは思うが、一人で病室にいてもすることがないので話し相手がいる事が有り難かった。

そして、その社さんが唯一いなくなる時間。いつも最上さんが現れる。


「こんにちは」

いつものように、にっこりと笑顔で顔をだす。

「やあ」

つられて俺も笑顔になる。

普段あまり見ることのないテレビやマリアちゃんが持ってきてくれた雑誌で、彼女が人気も実力もある女優であることがわかった。

だけど彼女はこうやって、毎日見舞いに来てくれる。
それがなんだか特別のようで、嬉しく感じた。

「今日は移動の途中なので、あんまり長くいられないんですけど…」

すこしでも会いたくて……
照れながら笑う彼女にドキンと跳ねる心臓。悟られないように視線をそらした。

「今日はなんの仕事?」
「あ、ドラマの撮影です」
「昨日の放送見たよ」
「本当ですか?どうでした?」
「うん、生まれ変わっても相手を見つけ出そうとする怨念がすごく伝わってきて怖かった」
「なっ!なんですか、それ?!!」

怨念って……。
運命の恋なのに…。純愛なのに…。どうせ私は……。
口を尖らせ、ぶつぶつ呟く。

「褒めてるのになぁ」
「どこがですかっ!」

プイと拗ねてそっぽを向く。
彼女は表情が豊かで、見ていて面白い。だからつい、からかいたくなってしまう。

「あ、CMも見たよ。きゅららの。同じ人物とは思えないほど可愛かった」
「……そのCM……」

何かを探るように、まっすぐに俺を見上げる。
その瞳は、なにか言いたげに揺れていた。

「ん?」
「……いえ、何でもないです。あの河原とても綺麗なんですよ、今度行ってみませんか?」
「そうだね。行ってみようか」
「本当ですか?約束ですよ!」
「うん」

指きりしましょう!
無邪気に笑うその仕草が可愛くておもわず抱きしめそうになった手を、腕を組んで誤魔化した。
なにを考えているんだ?俺…。

「そろそろ行かないと……」

時計をちらりと確認し、名残惜しそうに立ち上がる彼女。

「下まで送るよ」
「ダメですよ。大騒ぎになっちゃいます」
「じゃあ、そこまで」

俺の病室は、特別室だけあって一般病棟と階が違う。
その階には病室は3部屋しかなく、幸い今入院しているのは俺だけなので他の患者とすれ違う事はない。
だから大丈夫だよ、と遠慮する彼女をエレベーターホールまで見送った。

「そうだ。私、明日から雑誌の撮影で沖縄に行くんです」
「ふーん」
「ちなみに、水着の撮影もあるそうです。ちゃんと言いましたからね!後で怒るのはナシですよ!」
「……何で俺が怒るんだ?仕事なんだろう?」
「…その言葉、忘れないでくださいよ」

妙に含みのある言い方が気になって、
どういう意味?と、問いただそうとしたその時、チンと軽い音を立てエレベーターの扉が開いた。

「それじゃあ、明日はお見舞いに来られませんけど帰ってきたらすぐ顔を出しますね。お土産も買ってきます」
「うん、気を付けて行っておいで」

***

「蓮、飯!ちゃんと食えよ」

出された昼食にほとんど手をつけず箸を置いた俺を社さんが窘める。

「……、あまり食欲がなくて」
「ダメだ。俺がキョーコちゃんに怒られるだろ?それくらい残さず食べなさい。そうしたらご褒美やるぞ♪」

元々、食に関しては関心がない方だった。
口に入ればなんでも一緒、そう思っていた。

だけど、最上さんの差し入れてくれるお弁当を食べてから、何故か病院の食事に箸が進まない。
美味しくない訳でもないのに、何かが違う。


『このお弁当には、た~くさんの愛が詰まっているんですよ♪』


“愛”か…

ごく自然に、壁の内側に飛び込んできた不思議な娘。

嬉しそうに笑うその顔を見る度に。楽しそうに話すその声を聞く度に。
胸の奥から温かいものがこみ上がる。


幸せ?

……俺には、幸せになる資格はないはずなのに。


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2010.03.19 / Top↑
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