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彼女が来るのが待ち遠しくて、何度も何度も時計を確認する。
そんな自分に気付いて一笑した。


Act. 6

撮影はもう終わっているだろうか?
そろそろ飛行機に乗っているかもしれない。
もしかしたらその足でここにきてくれるかも。

またいつものように、その日あった事を身振り手振りで楽しそうに話すんだろうな。
その状況が容易に想像出来る。本当に面白い子だな。
名前も知らなかった女の子にここまで心を開くのは、始めてかも知れない。

くるくる変わる表情、愛くるしい笑顔。
安らぎをくれる不思議な子。

待っているから、はやく帰っておいで。


だけど、その日彼女は姿を現さなかった。そして翌日も。


撮影がうまくいかず延びることはよくあることだ。ロケは天気にだって左右される。

……でも、沖縄は快晴だとテレビで言っていた……

彼女にだって色々と予定がある。きっと仕事が忙しくて来られないのだろう。

……でも、帰ってきたら顔をだすと言っていた……

心に訳もわからない不安が押し寄せた。


***


「こんにちは、敦賀さん」

いつもと変わらずにっこりと顔をだすその姿をみて、ほっと溜息をつく。

「…なにかあった?」

お土産です。と渡された“星の砂”の小瓶を眺めながらポツリ、呟く。

「えっ?」
「あ、…いや…。おととい帰ってくるって言っていたから…」
「あぁ!仕事はちゃんと終わりましたよ。でも急遽、別の撮影が入っちゃってその足で地方に行っていたんです。昨日は伺おうと思ったんですよ。でも偶然会ったショータローに絡まれて応戦していたら、時間がなくなっちゃったんで…」
「ショータロー?」
「あ、もしかしてあいつの事も覚えてないですか?」

ショータロー。
その名前に聞き覚えはない。
だけど、なぜだろう。胸の奥がムカムカする。

「ショータローは幼馴染なんです。アカトキ所属の歌手で生意気にも不敗神話なんて――」

楽しそうに笑いながらその男の説明をする彼女に、なんだか無性に腹がたった。
黒く重い塊がトグロを巻いて心を蝕んでいく。

「…仲がいいんだな。」
「は?」

「その男と随分と仲がいいんだな。ケンカするほど…と言うからな。ここに来るよりそいつの所へ会いに行った方がいいんじゃないか?」

「…ヤキモチ、ですか?さっきも言いましたけどショータローはただの幼馴染ですよ?」

知らないよ、そんな男。

「なぜ俺がヤキモチなんてやくんだ。知りもしない人間に」

苛々する。

「だから、記憶が…」
「だから!!」

思わず荒げる声。彼女の身体がビクリと震える。

「そもそもそれがおかしいだろう?他の事は覚えているのになぜ君の事だけ忘れるんだ。そんなことありえないだろう?社長のお遊びなのかは知らないが、いい加減にしてくれ!」

「ちがっ‥!私は‥」

「……それに、もし君の言ったことが本当なら俺は君を忘れたかったんじゃないかな?心から追い出したくて記憶を封印したんじゃないか?!」

感情のままに口走った言葉。声に出してすぐに後悔した。

「…あ…、ごめ…」

彼女の顔に、言葉が詰まる。
今にも泣き出しそうな、辛そうな顔。

「…そうですね。きっとそれが心の奥にあったあなたの本音なんでしょうね…」

俯いて胸元でぎゅっと服を掴むその姿に泣かせてしまったと思った。
だけど――

「わかりました!」

そう言って顔をあげた彼女は、いつもと同じ笑顔で…

「え?」
「私、今日は帰りますね。……さようなら……」

“追いかけろ!”

頭の中で叫ぶ声が聞こえる。

“彼女を抱きしめて……絶対にその手を離すな!”

わかっているのに、そうしたいのに……。
まるで足を鎖で繋がれているように動く事が出来ない。
彼女の足音だけが廊下に響いて、

……消えた。

あんなに酷いことを言ったのに、俺は彼女が帰り際にみせた笑顔に安心してまた来てくれるだろうと甘い考えを持っていた。
例え来てくれなくても同じ業界にいるのだからいつでも会えると、退院したら会いに行って謝ろうと軽く考えていた。

だけど、その日から彼女が俺の前に姿を現すことはなくなった。


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2010.03.26 / Top↑
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