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あんな顔、させたくなんてなかったのに‥


Act. 7

退院した俺は、その足で迷惑をかけた監督や共演者、スタッフなど関係者へ挨拶にまわった。

主役がいないことで遅れていたドラマの撮影のため終日スタジオに籠り
合間、延ばして貰っていた雑誌のインタビューなどもこなす。
ロケやアルマンディーの撮影など地方での仕事も多く、
兎に角、今までないほどの殺人的なスケジュールだった。

26・27時あがりは当たり前。そして6時には現場へ向かう毎日。自宅に戻ってもほとんど休む時間もないからと、病み上がりである俺を心配した社さんがスタジオ近くに手配してくれたホテルに滞在して数週間を過ごした。

そんな毎日も、ひと月も過ぎた頃にはようやく落ち着きを取り戻し、いつも通りとまではいかなくてもそれなりに余裕も出始めた。

過密スケジュールのため禁じられていた車の運転もようやく再開し、その日仕事を終えた俺はいつも通り社さんを自宅まで送った。
車中、何故か終始無言だった社さんは、車から降りると神妙な面持ちで小さな紙袋を俺に差し出した。

「なんですか、これ?」
「……家に帰ったら開けてくれ」
「はぁ…」

「……本当は俺、こんな役イヤなんだ。だけど、蓮!お前キョーコちゃんになにしたんだよ?ああなった彼女はそう簡単には取り戻せないぞ!」

キョーコちゃん…。
最上さんの事か。なにが簡単じゃないんだ?

その言葉の意味が分からず、スケジュールが過密過ぎてなかなか彼女に謝りに行けないな、などと考えながら自宅へと車を走らせた。

***

「はぁ」

ソファーに腰かけ前髪をかきあげながら空を仰ぐ。
自分の部屋なのに何故か落ち着かない。何も変わっていないのに何かが足りない不思議な感覚。その原因を探るように彷徨わせた視線、放った荷物が目に留まる。

そうだ。自宅に帰って開けろといわれたんだった。

紙袋を開くと中に入っていたのは1枚の封筒と小さなビロードの箱。

なんだ、これ?……手紙?

手に取ったピンクの封筒。封を開けるとその中に入っていたのは1枚のカード。

これ、俺の家の鍵…か?
いや、まさかな。

そう思いながらも玄関に向かい半信半疑でカードを差し込む。

カチャ

ロックの解除される音。

どうして社さんが俺の部屋のスペアーキーを?

嫌な予感がして、慌てて部屋に戻りもう1つの箱を開く。

………指輪?………

中央のダイヤモンドを支える様にピンクとブルーの石がついたその指輪には、何故か見覚えがあった。
目の前に掲げ裏の文字を読む。


――With Love To K From K――


愛をこめて…?
これ、婚約……指輪? 

From K?

K……

…クオン…
俺、か?
俺が贈った? 


To K?

…Kって誰だ?


“私は、最上キョーコです”


キョーコ…

「!!」

K!
キョーコか!


“あなたのフィアンセです”


「………あ………」

本当だったんだ…。
そうだ!これ俺の見舞いに来てくれた彼女の薬指にいつもはまっていた。

ドクンドクンと心臓が早鐘を打つ。嫌な汗が背中をつたう。

俺、彼女になんて言った?


“君の事を忘れたかったんじゃないかな?
      心から追い出したくて記憶を封印したんじゃないか?”


指輪とカードキーを掴み、慌てて家を飛び出した。
エレベーターに乗り込み、何度も何度も行き先のボタンを押す。
押したからといってスピードが変わるわけではない事は解っていたが、兎に角じっとしていられなかった。
下降するスピードさえいつもより遅く感じ思わず壁を叩く。

チンと軽い音を立てゆっくりと開くドアを、無理やりこじ開けて駈け出した。
車に乗り、エンジンをかけ、ようやく気付く。

どこに行くつもりだ、俺…。

記憶のない俺は、彼女がどこにいるのか、どこに住んでいるのかわからない。

「…………」

あの時の彼女の顔が、頭から離れない…


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2010.03.29 / Top↑
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