こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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敦賀さんが退院したと、そして仕事に復帰したとモー子さんが教えてくれた。
社長にはあんな事を言ったけれど、敦賀さんの事だからきっと私に言った事を気にしているだろうと、そして私の前にあらわれるだろうと甘い考えを持っていた。

あれから数カ月。
まったく姿を現すことのない彼に、私達は本当に終わったのだと悟った。


Act. 9

初めて会った時から、私にだけ意地悪な彼の事が嫌いだった。
だけど、坊としてあなたの素顔を見た日からその感情は少しずつ変化していった。

空っぽだった自分に演技の楽しさを教えてくれた人。
どんな時でも好きな事に打ち込めるあなたが羨ましくて、あなたのような俳優になりたいと憧れた。神様を崇めるように、憧れと尊敬を抱いてその背中を必死に追いかけた。

***

「イジメ役には定評のある京子ちゃんだけど、今回も期待していいのかな?」

新しく始まるドラマの番宣で、主演の二人とともに訪れたトーク番組。

今回の私は、大好きな兄を取られまいと、兄の恋人になる女の子をイジメる役。

「はいっ!皆様のご期待に添えるようイジメ抜いて見せます。…でも、今回はかわいい妹役も演じなくてはならないので…そちらの方が不安ですね」
「素の彼女は、イジメ役を演じているなんて思えない程素直で可愛い子だから大丈夫ですよ」

主演である敦賀さんが、私の頭をポンポンと撫でながら優しくほほ笑んだ。

「やだ、お兄ちゃんたらっ」

恥ずかしさからとっさに兄妹を演じ敦賀さんの腕にしがみついた。

その時、私のレーダーがかすかに反応した。

どこから発しているのかわからないほど一瞬の小さな憎悪。その正体は撮影が始まってすぐに判明した。
ヒロインの女優、つまり敦賀さんの相手役。


「あ~~っ!もう、むかつく!!」
「どうしたの?機嫌、悪いじゃん」
「京子だよ!あいつマジむかつく!」
「あぁ……妹、ね。でもあの子、いい子だよ?礼儀正しいし」
「そんなのカンケーないよ。必要以上に蓮にベタベタしてさ!馴れ馴れしい!!」

バンと壁を蹴る大きな音。



えっとぉ………。

会話の内容に出るに出られずトイレの便座に腰かけたまま息を殺す。

要するに、今までの数々の出来事は全部ワザとってことよね…?
まぁ、うすうす感づいてはいたけれど。
それにしても…。天然・ほんわか・癒し系女優と評判のあの人が。
人は見かけによらない。ホント、怖い世界だわ。

人の気配が消えたのを確認しそっとドアを開ける。

どうやら彼女は恋人役である自分を差し置いて、私が敦賀さんと親しくする事が気にいらないらしい。撮影で帰りが遅くなった時に送ってくれることも、一緒に現場に現れる事も、休憩の時に傍にいる事さえも気にいらないらしい。

「事務所が同じだからって調子にのるな、か…」

敦賀さんは優しいから頼りない後輩に気を使ってくれているだけなのに……。


あのバカショーのせいで、子供のころからずっとイジメられてきた。
だから、ぶつかりそうになった振りをして、手に熱いコーヒーをかけられても。
(衣装にかけたら文句を言うところだったけど)
カバンの中身をぶちまけられても。
(モー子さんのキラキラメイクに手をだしたら呪うけどね)
アドリブを入れて混乱させようとする事だって、
(敦賀さんで慣れてるから動じなかったけど)
気にもしない。
こんなイヤガラセ、可愛いものよ。

だけど、彼には好きな人がいる。その人にもこうやって誤解されるかもしれないんだ。

やっぱり、いつまでも甘えていたらダメ、だよね。

胸がチクンと痛んだのは、多分いつまでもあなたに頼ってしまう私が情けないと思ったから………。


***


「やぁ。ちょっといいかな?」

ラブミー部の仕事で書類整理をしていた私の前に突然、満面の笑顔で現れた敦賀さん。
キラキラな笑顔と裏腹に背後に渦巻く黒~いオーラ。

な、なんで怒ってるの?怖わぁ~~いっ!!

「最上さん、何で最近俺を避けてるの?」
「さ、避けてなんていません!」

訝るように眉を寄せ、私を見る彼の視線に耐えきれず思わず逸らした視線。

「………ふ~ん。じゃあ、社さんにだけ笑顔で挨拶したり、社さんにだけ手造りの差し入れがあったり、俺が近づくと一歩離れたり、話しかけると用事があるからっていなくなるのもぜぇ~~んぶ、俺の気のせいなんだ」

つ、敦賀さん……。なんか、細かい……。

「今、細かい事を気にする男ね、って思っただろう?」
「!!! 思ってませんっ!私、そんなこと全然思ってませんっ!!」

ブンブンと手を頭を振って反論。ひ~~ぃっ!心を読まれた?!
キュラリ、最上級の笑顔で顔を近づける。その顔には、「吐け」と書いてある気がした。

───降参───

「………、私がそばにいたら誤解されると思って……」
「やっぱり何かされていたんだ?」

へ?やっぱり?
まぁ、確かに敦賀さんの事を好きなのであろうお方からは、散々イヤガラセを受けていますが…。

「え、っと…。そうじゃなくて…。敦賀さんの好きな女の子に誤解されては、と思いまして」
「えっ?」
「ほら!前に言っていたじゃないですか。4つ年下の高校生の女の子ですよ!」
「………最上さん?」
「はい?」
「何でそれを君が知っている?」

「──────!!」

し、しまった~っ!!
慌てて両手で口を覆う。…が、時すでに遅し。

「ん?」

世の中の女性が見たら確実に狂喜乱舞するであろうその笑顔は、私には大魔王降臨の前兆にしかみえなくて。
紳士(似非)な笑顔で近づく彼と、その度に一歩一歩後退る私。
壁際まで追い込まれ、両手で囲いを作られたらもう私に逃げ道はない。

「すっ、すみませんでした~~~っ!!!」

号泣の土下座。
「私が坊でした」の懺悔に敦賀さんは、「はぁ……」と大きなため息をついてその場に崩れるようにしゃがみ込み、項垂れた。

「参ったな……」

乙女のように頬を赤らめ口元を覆う。

「俺、本人に告白していたのか……」
「ふぇ?」

「あのね、俺の話したその高校生は君だってこと」


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2010.04.05 / Top↑
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