こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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「最上さん、今日も可愛いね」
「そうですか?ありがとうございます」

「そっけないなぁ。でもそんなところも好きだけどね」
「はいはい。そろそろ撮影始まりますよ?」

恥ずかしくて居た堪れない思いをしていた甘い囁きも、
毎日言われ続けているうちに軽く受け流せるようになってしまうのだから、慣れってすごいなと思う。
神々スマイルだって、いつの間にか眼を覆うことなく直視出来るようになっている。
おやすみのラブコールもおはようのラブメールも、あるのが当たり前。なかった時には何かあったのかな?と心配さえしてしまう。

気がつけば、敦賀さんが隣にいることが当たり前の毎日。

Act. 11

「最上さん、準備できた?」
「はい!お待たせしてすみませんでした」

最高級の車で最上級の運転手を伴っての帰宅。
いつもと少しだけ違うのは、行き先が“だるまや”ではなく彼の部屋だということ。


先日、先生からプレゼントが届いた。
“私の娘、キョーコへ”と直筆のメッセージが書かれたそれは、先生主演の映画の最新作で日本では未だ公開されていない貴重なDVD。

すぐに見たかったのだけどうちにはDVDプレイヤーがない。
だから椹さんにお願いして、時間がとれた時にでも事務所でみさせて頂こうと毎日大切に持ち歩いていた。

持ち運びが出来るポータブルタイプもあるよ、と社さんが教えてくれたけれど、やっぱり大きな画面でじっくり見たいもの。

「うちで見てもいいよ?」
「え?」

「クー・ヒズリの最新作、しかも日本未公開なんだろう?俺も一緒に見せて欲しいって言うのが本音なんだけどね」
「敦賀さん、先生のファンだったんですか?」

「うん…。子供のころからずっと憧れていて、いつか追いつきたいと思っている尊敬する役者だよ」

敦賀さんが目標にしている役者が、“クー・ヒズリ”だったなんて。
やっぱり先生は凄い!

「それじゃあ、お仕事早く終わる日にお邪魔させてください。一緒に見ましょう♪」

***

映画の余韻冷めやらぬまま、「あのシーンが、このセリフが」と興奮気味に語り合い、気付けば時計の針は深夜12時を回っていた。
そろそろお暇しようと立ち上がった私を、敦賀さんはソファーに押し戻した。
正面に跪き、まっすぐ真剣な眼差しで私を捉える。

まずい、と思った。
いつものようにふざけたり、軽くかわしたりすることは出来ないと悟る。
敦賀さんは“答え”を求めている。

「俺の事、嫌い?」
「嫌いじゃないですよ!」
「それは…。“先輩”としてだけの好意なのかな?」
「………」
「“恋愛”に変わることは、この先もないのかな?」
「………」

どうしよう………。
なんと言ったらいいのかわからない。

スカートの裾をギュッと握りしめ、その熱い視線から眼を逸らすように俯いた。

───沈黙は肯定───

それは、彼が教えてくれたこの世界を生き抜くための掟。
何も言わない私に、彼が導き出した“答え”は───

「…そっか…」

「えっ?」

「君が迷惑だと思うなら、もう……」

もう───?
その言葉の後に続くのは?

「これ以上しつこくしたら“先輩”としても嫌われちゃうからね」

悲しそうな笑顔に心が締め付けられる。

「ゴメン、遅くなっちゃたね。送って行くよ」

嫌いになんか、ならない。
迷惑だなんて思っていない。

そう伝えたいのに、喉が震えて言葉がでない。

「安心して?今日で最後にするから」

最後だなんて、言わないで!!

「ごめん。俺……大人気無いってわかっているんだけど……。いままで通りには出来ないかもしれない……」


だからもう───、

───もう、君には一切かかわらない……?───


向けられた背中が一歩一歩、離れて行く。私を置き去りにして………。


私‥‥、また失うの?

お母さんの背中。
ショータローの背中。

今度は、敦賀さんを……?

嫌だ。
そんなの嫌だ。

好きなのに……。
敦賀さんの事がこんなにも好きなのに……。


頭で考えるよりも先に身体が動いていた。
遠ざかる背中を追いかけて、ぎゅっとしがみつく。
お願い、私を置いていかないで───。


「………で………」

子供のように嗚咽をあげながら、必死に声を絞り出した。

「い…かないで……、やだ……、ず……と、わた……の傍…に……いて…下…い」

本当は気付いていた。
だけど恋をしていると認めるのが怖くて、また傷つく事を恐れて、
固い殻に閉じこもり、敦賀さんの言葉に耳を塞いだ。
これは冗談なんだ、からかわれているのだと思い込んで自分の気持ちを誤魔化した。

好きだと言ってくれた事も、二人で過ごす時間も、私だけに見せてくれるあの優しい笑顔も本当は嬉しかったのに。


縋るように抱きついて、シャツをしっかりと握る私の指を敦賀さんは無言で外した。

………やっぱり、もう…遅いんだ………

辛くって悲しくって、涙がポロポロと溢れだす。
ショータローに捨てられた時は、憎くてたまらなかったのに今は心が壊れてしまいそうなほどに痛い。俯いて爪が食い込みそうなほど強く、自身の手を握った。


「………!!」
「行かないよ。どこにも行かない。ずっと君の傍にいる」

優しい香りが、温かい腕が私をそっと包み込む。

「君が嫌だといっても、もう離してあげない。この手から逃がさない。永遠に」


敦賀さん───!!!


泣きじゃくる私を抱きしめて、あやすように優しく頭を、背を撫でくれる。

「大丈夫」
「傍にいるから」
「好きだよ」

何度も繰り返す彼の言葉が、私の心の傷を塞いでいく。
温かい何かが心に染み込んで満たしてくれる。


「私…、私…敦賀さんが…好き…です」


やっと言えた素直な気持ち。

その夜───。
私は愛する人の温もりに包まれて眠る幸せを知った。


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2010.04.13 / Top↑
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