こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
天高く、どこまでも澄んだ青い空。
穏やかな秋の海。

京子はそこで撮影をしていた。

─── おそらく、ほんの少し前まで………。

Act.15


ロケーション撮影のスタッフ。
エキストラらしき面々。
携帯を掲げ、遠巻きに眺める見物人。

彼女の姿は、もう……どこにもない。


「………蓮………」

深い落胆を隠し、“敦賀蓮”の仮面を貼りつけ何事もなかったように笑う。

「すみませんでした。行きましょうか?」

帽子を深くかぶり直し、鍔で顔を隠しながらその場を後にした。



***



「最上さん!やっと会えた!」
「………、何か御用ですか?」

数か月ぶりの再会。
ようやく出逢えた彼女は、足も止めず目線すらも合わせずに眼の前を通り過ぎていく。

「あのさ……、このま───」

『京子様』と張り紙のされた控室、
彼女の後に続き部屋に入ろうとした俺の眼の前で、その扉は閉じられた。

ガチャ。
鍵のかかる音。

「───っ───」

それは、完全なる拒絶。


「……。最上さん、話を聞いてくれないかな?」


「最上さん……。頼むよ、開けてくれないか?」


「……最上さん……」


何度呼びかけても返事は返らない。
天を仰いで嘆息する。
仕方がない。通用門付近で捕まえるか…。

踵を返したその時、背後の扉が開いた。

「もが───「キョーコ!」」

えっ?

「ショー。ごめん、待たせちゃった?」

まっすぐにその男の元へと走り寄り、無邪気な笑顔をみせる彼女。
男は、勝ち誇ったような顔でニヤリと笑い彼女の腰を抱いて歩き出した。

立ち去る二人。
その背中を茫然と見つめる。

誰………?
それは、誰───?

“ショー”

幼馴染、の───?

どうしてそいつと寄り添って歩く?
どうしてそいつの腰に手を回す?
どうしてそいつに───。

そいつに、ほほ笑みかける───?


「待って!最上さん!!」

どんなに叫んでも、振り返らない二人。

「最上さ───キョーコ!!」

どんなに走っても、縮む事のない距離。
どんどん、どんどん離れていく。

「待って───!」

俺の手を取って───?








視界の先には、
彼女に向かって伸ばした手。

そこは、一筋の光も差し込まない真っ暗な寝室。

───夢?

額にかかる前髪をかきあげ大きく息を吐く。
無意識にかみしめた唇からにじんだ血を掌で拭い、イヤな汗で貼りついた寝間着を脱ぎ捨て浴室へと向かった。

胸が、痛い───。

俺の存在さえをも否定するように、振り向くことなく通り過ぎて行った彼女。
幼馴染へ向けた笑顔を、花の咲いた様なあの幸せそうな笑顔を思い出すたびに胸の奥がキリキリと痛む。

「くそっ!」

巣くった不安といら立ちを追い払う様に、冷たいシャワーを頭から勢いよく浴びる。

期限まで、後3ケ月。

募る焦燥感。
もし、このまま会えなかったら?
12月25日を過ぎてしまったら───?


大体、期限なんて設けるのがおかしいんだ。
俺が彼女の心を手に入れるのにどれだけの苦労と時間を要したと思っているんだ。それをほんの数カ月で──────、えっ?

無意識に出た言葉に、思わず笑った。
なんだ、俺。
彼女の事、ちゃんと覚えているじゃないか。

期限なんて関係ない。

婚約者としての俺が終わったとしても、彼女を想う気持ちは永遠に変わらないのだから。
振り出しに戻る───ただそれだけの事。


NEXT 16



スポンサーサイト
2010.05.03 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://teafortwo22222.blog102.fc2.com/tb.php/77-b55c2157
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。