こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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その扉の向こうから聞こえるのは、待ち望んだ彼女の声。

「は~い」

Act. 17


「マリアちゃん、お帰りなさ───えっ?!」

満面の笑みで扉を開けた彼女の表情が、一瞬にして固まる。
そして勢いよくその扉を、───閉めた。

そうはさせるか!

閉まる扉の隙間にむりやり足をねじ込み、こじ開けた。

「どうして俺を避ける?」
「さ、避けてなんか!」

侵入を許すと同時に飛び退いて、俺から距離をとる彼女。

「ふ~ん」

逃がさぬように後ろ手に鍵をかけ、紳士な敦賀蓮の顔で、一歩・一歩と近づいていく。

「君は俺のフィアンセ、なんだろう?」

近づくたびに後退りして逃げる彼女を、部屋の奥へと追い詰めた。


「……もう、それに縛られる必要はないですよ。私になんて構ってないで新しい人生を歩んでください」

「俺は君と歩みたいんだよ!!」


そう。願うのは他の誰でもない、君との未来。

記憶をなくす前の俺が君を好きだったから?
そうじゃない。それだけじゃない。
これは、今の俺の気持ちなんだ。

まっすぐに彼女の瞳を見つめれば、大きく見開かれた瞳が潤んで揺れる。


「だって…。だって私を忘れたいって言ったじゃないですかっ!」

「それは!だから……、つまり……。君が楽しそうに話すから………」
「えっ?」

「君が帰ってくるのを、また来てくれるのを楽しみに待っていたのに……。他の男と一緒にいたなんて言うから……。だから……。あんな事、本当に思っていたわけじゃなくて………。ごめん」

あの時は気付かなかった感情。君が言っていた通りあれは俺のヤキモチだ。
それに気付いたからと言って、簡単に許される事ではない事もわかっている。

だけど───。
ゆっくりその場に跪き、平伏する。

「ごめん───。許して欲しい……。君を失いたくないんだ…」

長い沈黙。
自分の鼓動だけがやけに大きく響いて聞こえる。


「あいつとは、何でもないって言ったのに………」
「うん………」

「違うって言ってるのに、いっつも怒って!!」

うん?  ………そうなんだ。

「すごく悲しかった!!」
「うん、ごめん……」

「今度言ったら、絶対に許さないんだからっ!!!」
「!!」


涙を浮かべ、胸に飛び込んできた彼女をぎゅっと抱きしめた。

ねぇ、それって。
今回は許してくれるって事でいいんだよね。



***



「ずっと一緒にいてくれる?」

私の髪を撫でながら耳元で囁くあなたを、「仕方がないですね」と抱きしめた。




「蓮が明日退院できるらしいが、最上クンも迎えに行くか?」

呼び出された社長室。
いつものようにどこかの国の民族衣装を身につけた社長が嬉しそうに言った。

「行きませんよ。敦賀さんとは別れましたから」
「なんだ、記憶を無くした蓮に三行半か?」

私の言葉をただの痴話げんかと受け取ったのか、ワイングラス片手にニタニタと面白そうに笑う。

「違いますよ。私がふられたんです。記憶を無くしたのは私を忘れたかったからだ、心から追い出したかったんだって、言われました」


その言葉を聞いた時、「そうか」って思った。
ずっと不思議だった。どうして他の事は覚えているのに私の事だけを忘れているのかが。

“君の事を忘れたかった”

これが彼の心の中にあった本音なんだと納得できた。


「私‥。今、入っているお仕事が終わったら……引退して京都に戻ろうかと思っています」

今までからかうように話していた社長が、一転、姿勢を正し真剣な面持ちで私を見据える。

「───君は、最強で最高の女優を目指しているのではないのか?その夢も蓮のことも諦めてしまうのか?」
「演技は芸能界でなくても出来ますから。……敦賀さんの事は。彼が私の事を忘れたいのなら、同じ世界にいたら無理ですしね」

それに、彼が他の人の手を取って未来へと向かって歩んでいく姿を見たくない。だから彼の事が眼に、耳に入らない遠い所へと行ってしまいたい…。


「……最上くん、俺と賭けをしないか?」
「賭け…ですか?」

「そう、賭けだ。
蓮の記憶が戻っても戻らなくても…。あいつが君と一緒にいることを望んだら、君の負けだ。蓮のもとに戻ると約束してくれ。
そして君との未来をこの先も永遠に望まなかったとしたら…、俺の負けだ。LMEのインターナショナル部門に移籍して君が海外で女優の仕事を続けられるよう全面的にサポートしよう」

「でも…」

それじゃあ、私に都合がよすぎる…。

「君は大切な女優だからな。これならどっちに転んでもLMEの損失はない」

にやりと笑った。

「期間はそうだな、君たちの約束の日。12月25日にしよう。どうだ?」

「…わかりました。受けて立ちます。海外でのお話は嬉しいですから、私…。捕まらないよう全力で逃げますよ?」
「それでいい」



………社長………。


賭けは、私の負けです…。


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2010.05.12 / Top↑
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