こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
冬の訪れを感じさせるひんやりとした澄んだ空気。
華やかに色づいた木々。
赤い落ち葉の絨毯を踏めば、サクサクと音を鳴らす。
繋いだ手から伝わるぬくもり。
彼女と二人、約束のあの場所へ。


Act 18


「ね。俺、君の事なんて呼んでたのかな?キョーコって呼んでも───」
「ダメです」
「は?」
「呼んじゃダメです」

……なんでだろう。いまの「ダメ」

……ものすごく傷ついた気がする……。


「キョーコって呼べるのは特別なヒトだけなんです。だからダメ」
「……俺、君の特別じゃないの?」

「特別ですよ?」
「だったら───」

「でもダメです。今はまだ」
「まだ?」

「何て呼んでいたのかは自分で思い出して下さい。それまでは‘最上さん’ですからね」
「……………」
「わかりました?」
「………はい」

要するに…。
一緒に居てはくれるけど、完全に恋人同士(もとどおり)という訳ではないって事か‥‥。
水際へと駆けていく彼女の後姿に、ふ~と大きくため息を吐いた。

「つめたっ」

川の水面に指先を浸し、その冷たさに身をすくめながらも楽しそうに笑う彼女。
その笑みにつられ、自然に緩む口元。

───まぁ、いいか。

呼び名なんてどうでもいい。
彼女が隣にいてくれるなら。



彼女の隣にしゃがみ込み、同じように水面に指先を浸す。
広がる幾重もの輪が、彼女の織りなす輪と重なり合う。

芽生えた悪戯心。
水面を流れる紅葉に気を取られた彼女の首筋を、その冷えた指先でそっと撫であげた。

「ひゃん」

冷たさに、肩をすくめ飛び跳ねる彼女。
まるで小動物の様な動きに思わず噴き出した。

「もう!」

頬を膨らませて、仕返しとばかりに水しぶきを飛ばす彼女。
ふざけあって、笑いあって。

───幸せな時間。


ふと、視界に入った石を水中から拾いあげ、彼女の前に掲げた。

「これ、君が作ってくれたハンバーグみたいだね」
「え……」
「丸くて平べったい」

無反応で俺を見上げる彼女に、ちょっと子供っぽかったかな……。と不安になる───が、次の瞬間、彼女は無邪気な可愛らしい笑顔を見せた。

「それじゃあ、これはハンバーグの国王様ですね」

大きな石を指差して笑う彼女に、幼い女の子の笑顔が重なる。
ツインテールの可愛い女の子。

「‥俺達、子供のころもこうやって遊んでいた?」

もしかしたら───。
俺達は子供の頃に、出逢っていたのかもしれない。
それは、おそらく確信。

だけど。

俺の問いかけに、彼女はなにも語らず、ただ穏やかにほほ笑んだ。


「お腹すきました!そろそろ帰りましょう。今夜はハンバーグです」




自宅に戻ると、そこにはすでに彼女の荷物が運び込まれていた。
マリアちゃん───。いや、社長か?


彼女はあの日、荷物を纏め家を出て、それから暫くの間は、琴波さんの家に泊めてもらっていたそうだ。
社長が事情を知ってからは、賭けの期限までという条件で社長の自宅にお世話になっていたらしい。

彼女を探していたころ、マリアちゃんに事務所や自宅に誘われていた事を思い出した。


***


「蓮さま~っ!」

打ち合わせを兼ねた取材のために訪れた事務所。
電話をかけにいった社さんを待っている俺に気付き、マリアちゃんが笑顔で駆け寄って来た。
少し前までは「抱っこ抱っこ」と甘えていたのに、今では抱き上げると「子供扱いはレディに失礼よ」と頬を膨らませる。

「ねぇ、蓮様。明日も事務所に寄る?」
「う~ん、ごめんね。明日は予定ないかな?」

「ちょっとも寄れない?」
「ごめんね。何か用事があった?」

本当の事を言えば午後から少し時間がある。事務所に寄れない事はない。
だけど今は、ほんの少しの合間も、彼女を探すために使いたいんだ。
ごめんね、マリアちゃん。

「………ううん、いいの。」

少し落ち込んだように元気をなくしたマリアちゃんに心が痛んだ。


***


誰も味方がいない、誰も協力してくれないと、内心恨んでいた。
だけどみんなが俺を───、いや、俺達を心配してくれていたのだと気が付いた。

マリアちゃんも、社さんも。
そして───、社長も。


NEXT 19



スポンサーサイト
2010.05.17 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://teafortwo22222.blog102.fc2.com/tb.php/88-83cab7e9
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。