こちらはスキップビートの二次創作ブログです。 原作者様及び出版社様等とは全く関係がございません。

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私を、忘れないで………

彼女の声が聞こえた気がした。


Act. 21


それは、一瞬の出来事だった。

「きゃっ」

小さな悲鳴。
ぐらりと傾く彼女の身体が、がらがらと音を立てて崩れ落ちる石とともに碧い海へと吸い込まれていく。

「危ない、最上さん!」

咄嗟に差し出した腕に向かって、彼女が手を伸ばす。
指先が触れるその刹那、


彼女は、その手を引っ込めた。


互いの手を伸ばせば掴むことのできた距離。
だけど、伸ばしたその手は虚しく空を切った。
笑みを浮かべ、落ちていく彼女。
俺は、一瞬の迷いもなくそこから飛び降りた。


「だめ─────────っっ!!!」


瞳に映る恐怖の色。
悲痛な叫びが、辺りの空気を震わせる。

もう少し…。

力の限り腕を伸ばし掴んだ身体を、抱き寄せた。


力が抜け、だらりと垂れ下がる手足。
伏せられた瞳、長い睫毛に残る涙の雫。

気を失っている───?


「くっ‥‥‥」

重力のままに落ちていく二人。
だめだ、このまま落ちたら彼女が水面に体を打ちつけてしまう。
空中でなんとか体を反転させ、彼女の体を抱え込む。

彼女だけは、怪我をさせないように───。


落ちていく中。
スローモーションのように流れだす映像。
視界の先の青い空が、白い壁へと変わる。


───彼女だけは、怪我がないように?───


………そうだ、俺は───。



「また見てる」
「だ、だって!…嬉しいんだもん…。ね、クオンはどれがいい?」

床にペタンと座る彼女の身体をいつものように抱き寄せて、彼女の肩越しから手元の本をのぞきこんだ。

「ん?そうだなぁ…。このマーメイドラインのドレスも綺麗だけどこっちのレースがたくさんついたフワリとしたドレス。背中のリボンが妖精の羽みたいで、可愛いんじゃない?キョーコに似合いそうだ」
「よ、妖精~♪」

瞳を輝かせて毎日のようにウェディングドレスのカタログを眺める彼女。
そんな彼女が可愛くて、愛しくて。

「明日、ショップに行ってみようか?」
「え?!いいんですか?」
「うん。明日なら夕方には上がれるし。ミス・ジェリーに頼んでまた変装していこう?」
「はいっ!」


仕事を終え、ミス・ジェリーの待つ社長室へと向かう途中に見かけた彼女の後姿。
踊るような足取りで階段を駆け上がっていく。
楽しそうにはしゃぐ彼女を驚かせようと、こっそりその後を追いかけた。

「きゃ」

小さな悲鳴に階上を見上げれば、視界に飛び込んできたのは宙を舞う彼女の身体。


「危ない!」


落ちてきた彼女を受け止めた衝撃でふらついた俺は、段差を踏み外し彼女を抱えたまま階下へと落ちて行った。
彼女だけは怪我をさせない様に、その腕の中にしっかりと抱きしめながら。

───そしてブラックアウトする視界。


…………

……オン……

……クオン……


暗闇に差し込む一縷の光。
俺を呼ぶ声。
さしのべられた手。
花の咲くような笑顔の女の子。


あなた、妖精?
キョーコ、ちゃん?


敦賀さんの存在は、私に勇気と自信をくれるみたいです。
最上…さん。


クオン…好き、大好き。
キョーコ!!!


閉ざされていた記憶の扉が、開かれる。



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2010.06.01 / Top↑
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